■BayArenaの名称についてBayArenaは、1997年までは
Ulrich-Haberland Stadion(ウルリッヒ=ハーバーラント シュタディオン)…という名前でした。
Ulrich Haberlandとは、Bayer04の大本である企業バイエルの当時の最高経営責任者(CEO)の名前で、HaberlandさんがBayer 04 Leverkusenの創設者でもあります。
1998年にスタジアムをBayArenaへ改名したのですが、思い入れのあるスタジアムの名前をなんらかの形で残したい…ということで、BayArenaの隣にある屋外のサッカー場へ「Ulrich-Haberland Stadion」という名前を移行したわけです。
それがこちら。

現在はBayer II(U23)やU19といったユースの試合や、トップチームの練習やテストマッチなどで主に使用されています。とても見やすくて個人的にお気に入りです。
ちなみに、2011年女子サッカーワールドカップでBayArenaが使用された際は、ネーミングライツの関係で
「Leverkusen-Stadion(レヴァークーゼン・シュタディオン)」と呼ばれていました。
■BayArenaのむかしばなし大昔は20,000人規模の小汚い(失礼)スタジアムだったそうですが、1986年に10年構想でスタジアムの大規模な改築が始まります。
まずは屋根を取り付ける工事から始まり、続いて西側のスタンドを新しく建築。西側のスタンドが完成したら東側のスタンドを改築し、その次は南側スタンドを…といった感じに、ピッチをぐるりと取り囲む形で改築が進みます。
更に、屋根にはHeizung(暖房)のガス管が追加され、真冬の夜に行われる試合でも観客席が寒すぎないように工夫されました。
車椅子専用の客席スペースや、視覚障害を持つ人のための実況放送用のイヤフォンポートが備え付けられた座席が作られたのもこの改築時です。
この改築の期間、1980年代後半から1990年台前半にかけて、スタジアムが少しずつ立派になるにつれクラブのBayer04がどんどん強くなりました。
1988年にUEFA Europa League(EL)の前身であるUEFA-Cupを優勝し、1993年には念願の国内初タイトルであるDFB-Pokalを優勝しています。
そして
1997年の8月、収容人数が22,500人に増えた新スタジアムが完成しました。
1998年からはスタジアムの名称が「BayArena」となり、更に翌年の1999年にはスタジアム併設のホテル「Lindner Hotels BayArena」が完成。
スタジアムに会議室やレストラン、ホテルが統合した、当時では(現在でも)画期的なグローバル施設となりました。
同じ年にまとめていっぺんに完成するわけではないのが、なんというかドイツらしいです(´ω`)
なお、1993年のDFB-Pokal以降、Bayer04はタイトルを獲得しておらず、Bundesligaの優勝経験もありません。
いつか取れると良いなぁ。
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実は、1986年の10年構想時点では、27,000人規模のスタジアムへの改築を行う予定でした。
ところが、スタジアム改築中の1989年4月15日、現在でも有名な
「ヒルズボロの悲劇」(ドイツ語では"Sheffielder Stadionkatastrophe"や"Hillsborough-Katastrophe"と呼ばれる)が起こってしまいます。
「ヒルズボロの悲劇」とは、イングランドのシェフィールドにあるヒルズボロ・スタジアムで行われたFAカップ準決勝、リヴァプール対ノッティンガム・フォレスト戦で起こった事故のことです。
スタジアムの収容人数を大幅に超えたサポーター(Ultras/ウルトラス)がゴール裏の立ち見席に詰め込まれたことによって、スタジアムの柵が壊れ、人が将棋倒しになり、子供を含めた大勢の人が亡くなり、また怪我を負った、とても痛ましい大事故でした。
※事故の詳細に関しては、書籍やwikipediaでどうぞ。この事故が起こった要因のひとつとして、
クラブ側が収容人数を超えた観客を無理やり立ち見席のエリアへ詰め込み、観客の誘導や整備がきちんとできていなかったことが挙げられました。
そのため、他国で起こった事故とはいえ、スタジアム改築中であったBayer04も、当初の計画書にあった27,000人の収容が本当に可能なのか、そもそものサポーター(Ultras)用の立ち見席の必要性においても再検討するよう、DFB協会から指示を受け(実際には、全てのエリアにちゃんと座席を設けるよう指示があったとのこと)最終的に22,500人収容のスタジアムへ縮小されたのです。
■BayArenaのいま話は進んで、2007年12月。更に座席数を増やすべく、改築を行うことが発表されます。
この改築工事には1年間を費やし、
2009年の8月15日、収容人数が30,210人に増えた "neue" BayArena(新バイ・アレーナ)が完成しました。
屋根部分には最新式のソーラーパネルを取り付けた他、レストランで食事をしながら観戦したり、併設ホテルの客室から直接観戦することができる通称「VIPエリア」を拡大し、メディアの記者が集うゾーンも広くなりました。選手のドレッシングルームやマッサージルームも改装され、改築費用は総額7000万EURと言われています。
2011年にスタジアム周りの小規模の改修工事を行ったりもしていますが、2013年現在も近代的なデザインと収容人数は変わっていません。
ちなみに、2度目の改築後もサポーター(Ultras)用のエリア全てに座席が設けられていますが、
CLやELといった国際試合以外の試合では、事前にシート部分が撤去されて立ち見席へと変わります(^ω^)それでいいのか…
・・・参考・・・Bayer04公式サイト内「BayArena」特設ページ
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